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量子コンピュータ時代の仮想通貨、グーグルがBTC等主要チェーンの「現在の対応度」を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • QRL等3銘柄はPQC移行済。ソラナやXRPは実験的展開を先行
  • 1200量子ビット等の計算機で数分内の暗号解読が可能に

現在の各主要チェーンの量子耐性ステータスと攻撃リスク

米グーグル・クアンタムAI(Google Quantum AI)などの研究チームは1日、仮想通貨の量子コンピュータリスクと対応策に関する論文を発表し、ビットコインやイーサリアムなどを中心に現在のリスクを詳細に分析した。同論文では全体的なランキングづけや網羅的な比較を行っているわけではないが、ブロック生成時間や暗号規格の違いから生じる固有の脆弱性について整理している。

論文内では各プロジェクトの取り組みについても簡単な紹介が添えられており、PQCへの移行を完了している事例としてクアンタム・レジスタント・レジャー(QRL)、モチモ(Mochimo)、アベリアン(Abelian)の3つが挙げられた。これらは量子コンピュータの脅威を前提とした先行事例として位置付けられている。

また、実験的な取り組みを開始しているネットワークの例として、アルゴランド(ALGO)、XRP、ソラナ(SOL)などが紹介された。あくまで他チェーンの動向の一環としての言及に留まるが、これらはPQCプロトコルの一部展開を進めている状態にあるという。

論文が詳細な分析を行った時価総額首位のビットコイン(BTC)については、約10分というブロック生成時間の長さが量子攻撃における一つの焦点とされた。1,200から1,450の論理量子ビットを持つ初期の量子計算機が実用化された場合、この承認時間の隙を突いたトランザクション実行中の「On-Spend攻撃」の対象になる可能性が指摘されている。

関連記事:コインベースCEO、ビットコインの量子耐性対応に「自ら時間を割く」と表明

コインベースCEOのアームストロング氏がビットコインの量子耐性対応に個人的に関与すると宣言。同社は諮問委員会設立に続き、業界横断ワーキンググループの結成も主導する。

これに対し、イーサリアム(ETH)の12秒や、ソラナの400ミリ秒といった短い生成時間は、送金傍受(On-Spend攻撃)のリスクを相対的に低下させる要因の一つになるという。加えて、ジーキャッシュ(ZEC)の75秒やドージコイン(DOGE)の1分といった生成時間も、未確定時間を減らすという点で一定のハードルとして機能すると記載された。

一方、イーサリアム(ETH)についても、アカウントやコントラクト構造に基づく5つの量子脆弱性(アカウント、管理者、コード、コンセンサス、データ可用性)が分類された。中でもコントラクトの管理者権限が解読された場合のシナリオとして、2030年に16兆ドル以上へ拡大予測されるRWA(現実資産トークン)市場等への広範な影響が客観的に考察されている。

また、PoSバリデーターの署名において将来的な改ざんを仮定した場合、システム全体の最終性(ファイナリティ)に対するコンセンサス課題が想定されている。加えてデータ可用性(DAS)の固定パラメータ解読は、一度の探索で流用可能な古典的脆弱性を生むと分析されており、ネットワーク保護に関する長期的な方策が提示された。

さらに、同ネットワークのレイヤー2(L2)にあたるスタークネット(Starknet)については、量子耐性の備わったハッシュベースのプロトコルを採用している事例として紹介された。

他の取り組みの例としては、カルダノ(ADA)におけるステーキングキーや投票キーのローテーション機能が、過渡的なリスク軽減措置の一つとして短く触れられている。

こうした量子リスクへの段階的な対策として、ビットコインコミュニティでは脆弱性を軽減する新たなスクリプトタイプ「P2MR(BIP-360)」をめぐる議論が進められている状況にある。

イーサリアムにおいても次期アップデートに向けたプロトコル改修の検討が始まっており、ポスト量子署名スキームを実装するプリコンパイル導入に向けた「EIP-7932」提案が行われるなど、PQC移行に向けた中長期的な研究が進んでいる。

関連記事:イーサリアム、量子時代に備え8年超の研究成果公開 2029年完全移行へ

イーサリアム財団が、8年以上にわたる研究成果を集約した量子耐性(PQ)セキュリティの専用ポータルを開設した。量子リスクは差し迫った脅威ではないが、分散型グローバルプロトコルの移行には数年の準備と徹底的な検証が必要であるため、イーサリアムはPQ転換への取り組みを進めている。

論文は、本格的な量子計算機(CRQC)の実用化時期は不確実であるとしつつも、仮想通貨エコシステム全体に対してPQCへの計画的な移行を推奨している。特に、ユーザーが秘密鍵を紛失した約230万BTC(24兆円規模)に及ぶ休眠資産は事後的な救済が難しいため、今後のデジタル資産のサルベージに関する法的枠組みの整備が課題になると見込んでいる。

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