今週の週次レポート
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週初に1230万円台前半で取引を開始した後、中東情勢の悪化や資金流出懸念を背景に下落基調を強め、足元では1160万円台で推移している。
週明けは、パキスタン政府が米・イラン合意が近いとの見方を示したことで戦争終結期待が広がり、BTCは1230万円台半ばまで上昇した。
しかし、米国市場の休場で流動性が低下するなか上値は限られ、翌26日には米株高に連れ高となるも、米軍による対イラン攻撃を受けて反落。その後は、ハイテク株への資金ローテーション観測や、クラリティ法案の年内成立に暗雲が立ち込めたことも重石となり、相場は1200万円を割り込んだ。
さらに28日未明には米軍がホルムズ海峡近辺で攻撃を実施し、東京時間にはイランが中東の米軍基地へ報復攻撃を行い、BTCは1160万円近辺まで下落した。
一方、28日の米国時間には4月の米個人消費支出(PCE)デフレーターが上振れたものの、米・イランが停戦を60日間延長する覚書に合意したとの報道が伝わると下げ渋り、終盤にかけては1170万円近辺まで回復した。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbankより作成
来週のBTC相場は、中東情勢の改善期待が下値を支える一方、米株への資金流入が続くなかで上値の重い展開が続く可能性が指摘される。
今週は、BTCドルが200日移動平均線への再トライを試みるかが焦点だったが、米・イランの軍事衝突が再開したことでリスク回避姿勢が強まり、相場は調整継続を余儀なくされた。
一方、中東情勢が不安定ななかでも米国株市場は堅調さを維持しており、28日には主要3指数が揃って終値ベースで史上最高値を更新した。リスクオン地合いそのものは維持されているが、その恩恵はBTCよりも米株市場に向かっている印象だ。

【第2図:BTC対ドルの200日移動平均線(日足)】
出所:Glassnodeより作成
実際、足元では米国の現物ビットコインETFから資金流出が続く一方、ハイテク株関連ETFには記録的な資金流入が確認されているとの報道もある。今年はスペースXやオープンAI、アンソロピックによる大型IPOも控えており、関連セクターへの先回り的な資金流入がBTCの相対的な資金吸収力を低下させている可能性がある。
尤も、中東情勢については改善の兆しも見え始めている。28日には米・イランが停戦を60日間延長する覚書に合意したと報じられており、今後はトランプ米大統領がこれを承認するかが焦点となる。この報道を受けて原油価格は下落しており、市場では戦争終結への期待感も高まりつつある。
また、4月の米個人消費支出(PCE)デフレーターは前年比で2023年5月以来の高水準となり、インフレ再燃への警戒感を強める内容となったが、停戦合意に向けた進展を背景に原油価格の下落が続く場合には、こうしたインフレ懸念も一定程度相殺される余地がありそうだ。
総じて、足元では米株市場への資金流入が続いていることからBTCの上値は限定されやすいか。ただ、中東情勢が正常化に向かい、原油価格と米金利の上昇圧力が後退する場合には、BTCの下値も限定的となる公算が大きい。まずは停戦延長を巡るトランプ氏の判断が、目先の相場の方向感を左右する重要な材料となろう。
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